英語科教員のメモ書き。

【真面目に検証】アンパンマンの世界には受験戦争があったかもしれない話

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お疲れ様です、Javishです。

 

皆さんは、このキャラクターをご存じでしょうか。↓↓

 

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アンパンマンに教員として登場する、「ミミ先生」です。

 

ここで疑問。

アンパンマンの世界には学校が1つだけ存在し、教員はミミ先生1人だけです。現実世界の法律を当てはめて考えると、アンパンマンの世界の教育事情はどうなっているのででしょうか?そもそも、激務といわれる教員の業務をひとりですべてこなしているとしたら、恐ろしい勤務の実態が見えてくるかもしれません。学校教育を細かく規定している諸法律に反せず、かつ可能な限りミミ先生が業務をこなしていると仮定した場合、アンパンマンの世界の教育事情はどうなっているのでしょうか。では、調べてみましょう。

 

学校教育法に照らしてみる

教員採用試験にも頻出の学校教育法。学校現場における細かな条件が規定されています。学校教育法第37条には、学校に配置すべき教職員が次のように明記されています。

 

小学校(注)には、校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。

 

アンパンマンキャラクターの非公式サイトによると、ミミ先生の場所は「小学校」とされているため、今回の検証では小学校に関する法規をみています。)

 

つまり、最低でも5名以上の教職員を配置する必要があるということですね。校長は所属職員を監督するなど、各役職の役割が決まっているため、ひとりで5つの役職を全て兼任、とはいきません。早くも法律違反・・・かと思いきや、学校教育法第37条の19に、このような記述があります。

 

学校の実情に照らし必要があると認めるときは、第九項の規定にかかわらず、校長(副校長を置く小学校にあつては、校長及び副校長)及び教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童の養護又は栄養の指導及び管理をつかさどる主幹教諭を置くことができる。

 

アンパンマンの世界にはミミ先生しか教員はいませんから、「学校の実情に照らし必要がある」といえるでしょう。この規定により、ミミ先生を「校長(副校長を置く小学校にあつては、校長及び副校長)及び教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童の養護又は栄養の指導及び管理をつかさどる主幹教諭」に任命すれば、配置が必要な5つの役職のうち4つ(校長、教頭、教諭、養護教諭)をミミ先生1人で合法的にカバー出来ます。スーパー先生ですね。

では、残りの事務職員はどう対処するか。これも実は方法があります。学校教育法第40条に、

 

市町村は、前二条の規定によることを不可能又は不適当と認めるときは、小学校の設置に代え、学齢児童の全部又は一部の教育事務を、他の市町村又は前条の市町村の組合に委託することができる。

 

とあります。「前二条の規定」に学校教育法第37条が含まれており、ミミ先生1人では事務職員の職務を遂行することは不可能であるため、アンパンマンの世界の外の市町村の組合に学校事務を委託出来ます。「そもそもアンパンマンの世界に都道府県や市町村という枠組みがあるのか」という疑問もわきましたが、アンパンマンの原作者・やなせたかしさんによると、アンパンマンの世界は「アンパンマンワールド」と呼ばれ、地球の日本にあるそうなので、行政の仕組みは現実世界と同じものが適用できます。これで、ミミ先生1人でも学校教育法には違反しません。

 

<ここまでまとめ>

ミミ先生は校長、教頭、教諭、養護教諭の職務を4つ兼任する主幹教諭で、学校事務は外部委託すれば法律上問題ない。

 

教職員定数は

学校ごとに配置する教職員の数はどのように定められているのでしょうか。ここが法律で明記されていたら厳しいところです。教職員定数は、文部科学省の「学級編成及び教職員定数に関する資料」で次のように定められています。

 

義務標準法に基づく標準定数は、都道府県ごとに置くべき義務教育諸学校の教職員の総数を算定するもの。都道府県は、これを標準として、校長、教頭及び教諭等、養護教諭栄養教諭等、事務職員、特殊教育諸学校の教職員の定数を条例で定める。

 

つまり、「義務標準法に基づく定数」は標準として定められているものの、教職員の数は地方自治体がそれを参考にして基準を定めるということですね。よって、アンパンマンワールドを有する地方自治体が条例で特に規定していない又は教職員が1名でもよいという規定を定めていれば、ミミ先生一人でも法律上は問題ありません。

 

<ここまでまとめ>

アンパンマンワールドを管轄する地方自治体が教員数について規定していない又は1名でもよいと規定しているならば、法律上問題ない。

 

1クラスの児童の数は

ここまで、学校側の法規はクリアしてきました。では、児童に関する法規はどうでしょうか。1学級あたりの児童数に関する規定を確認しましょう。1学級あたりの児童の数は、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」に次のように規定されています。

 

・小学校=40人(1年生のみ35人)

 

学級担任を持てるのはミミ先生1人ですから、児童数が40人を越えると2学級になってしまうため、現実的にミミ先生の学校に通える児童数は40人ということになります。

では、作品中にミミ先生の学校に通うキャラクターは何人いるのでしょうか?アンパンマンのアニメ・映画の中で学校に実際に通っている様子を確認できるのは、おおよそ以下のキャラクターたちです。

 

  • カバオ
  • うさこ
  • ちびぞうくん
  • モン吉
  • ピョン吉
  • ねこみ
  • くまた
  • こんた
  • ぶたお

 

以上9名。

ただし、これはあくまで学校にいる様子が確認できたキャラクターであり、作品中では登場していないが学校に在籍はしているキャラクターがいる可能性があります。最大在籍可能な児童数を確認する必要がありますね。

ここで問題なのが、アンパンマンに登場するキャラクターの数。アンパンマンは「世界一登場キャラクターが多いアニメ」としてギネス認定されており、実に2200種類以上のキャラクターが存在します。そして、中には成人しているように見えるキャラもいますが、子どもっぽくみえるキャラクターも多く、アンパンマンのキャラクターの年齢はグレーゾーンです。しかし、学校という教育機関がある以上、年齢の概念があるはずです。この状況から、以下の二つが推測できます。

 

推測①:学齢期に達しているキャラが常に40人以下。

学校教育法第36条には、

 

学齢に達しない子は、小学校に入学させることができない。

 

とあります。海外では見られる飛び級制度も、日本では義務教育においては認められていないということですね。つまり、小学校の年度が始まる4月1日の時点で満6歳になっていないか、満12歳を越えているかのどちらかであれば、学齢期に入らないので小学校に在籍できなくなります。2200種類以上のキャラクターがいても、奇跡的にこの40人枠を時間とともにうまいことやりくりできているなら問題ありません。

 

推測②:凄まじい受験戦争が起こり、ミミ先生の学校に合格出来なかった児童は他の地域の学校に通っている。

 

仮にアンパンマンの全キャラクター2200人が同時期に学齢期であるとすると、40人の枠を争う凄まじい受験戦争が勃発します。その倍率は55倍。英語科の教員採用試験なんて比じゃないですね。いったい偏差値はどこまで高騰してしまうのでしょうか?ミミ先生の学校の受験生をターゲットにした塾が乱立し、教育産業が盛り上がりそうです。

そしてもう1点、この推測が本当だとすると、ミミ先生の学校に受からなかった児童は他の地域まで通学する必要が出てきますが、通学手段が必要になりますね。アンパンマンワールドには公共交通機関は登場しないものの、乗り物は登場します。

 

アンパンマンに登場する乗り物はここにまとまっていました。↓↓

アンパンマン | アンパンマン 乗り物一覧

 

アンパンマンには実は乗り物がたくさん登場しているんですね。第183話には、「アンパンマンとくるまの国」というお話があるほどです。

 

最も馴染み深そうなアンパンマン号も、実はこんな大きさ。

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おおかたスクールバスくらいの大きさはあるでしょうか。町の広場でパンを配ったりする心の広いジャムおじさんであれば、学校までの無料バスくらい平気で車を出してしまいそうです。これで交通面が整備されている可能性が出てきたので、推測②も十分現実味が出てきました。

ちなみに、普段学校での様子が見られるカバオくんやちびぞうくんは、実は受験戦争を勝ち抜いたエリート組みだったとしたら、見る目も変わってくるのではないでしょうか。

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エリート・カバオくん。

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エリート・ちびぞうくん。

 

<ここまでまとめ>

1学級の児童数は40人まで。よって、アンパンマンワールドではみんながタイミングよく学齢期を迎えることで40人の枠をやりくりしているか、倍率55倍の受験戦争が起こったことがあるかのどちらか。その場合、カバオくんたちは超エリートである。

 

 

最後にまとめ

 

ここまで、アンパンマンワールドの諸条件に現実世界の法律を照らし合わせ、アンパンマンワールドの教育事情を検証してきました。まとめると以下のようになります。

 

・ミミ先生は校長、教頭、教諭、養護教諭の職務を4つ兼任する主幹教諭で、学校事務は外部委託している。

アンパンマンワールドを管轄する地方自治体は教員定数について規定していない又は1名でもよいと規定している。

 ・1学級の児童数は40人までであるため、アンパンマンワールドではキャラクター全員がタイミングよく学齢期を迎えることで40人の枠をやりくりしているか、又は倍率55倍の激烈な受験戦争が起こった可能性がある。その場合、カバオくんたちは超エリートである。

 

以上3点が立証されました。アンパンマンワールドの教育事情の検証、いかがでしたでしょうか。このまとめ作業により、Javishは教育法規のいい復習が出来たとともに、カバオくんたちへの印象ががらっと変わりました。今後はミミ先生の働き方改革に注目ですね。今度アンパンマンを観る機会があったら、アンパンマンワールドの教育事情に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。