英語科教員のメモ書き。

川口市立中学のいじめ問題を考える。

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お疲れ様です、Javishです。

 

いじめ問題はどの学校にとっても最も力を注がなくてはならない業務のひとつです。

2013年にいじめ防止対策推進法が施行されたように、学校ではいじめを未然防止・早期発見・早期対応することとされている一方で、いじめ問題は連日のようにメディアで報道されます。悲しい限りです。

今回は川口市立中学校でおきたいじめ問題に対する学校の対応について考えます。

 

川口市立中学のいじめ問題と学校対応

埼玉県川口市立の中学校3年生の生徒が、①所属していたサッカー部内でのいじめ、②同部顧問からの体罰、そして③インターネットなどによる中傷が原因で不登校になってしまいました。体罰を行った顧問は当初体罰を否定していたものの、被害生徒とやりとりをしていたノートに体罰を行ったことがわかる旨の記載があり、それを証拠に顧問は体罰があった事を認めました。

それ以降の対応として、保護者会及び生徒集会にていじめ防止指導を行うことや、被害生徒に対する学習支援、教職員のいじめ防止の研修の実施など5項目が記されていた「○○君への今後の支援体制」という文書が校長から被害生徒と保護者に示されました。

保護者や周囲の励ましもあり、当該生徒は学校に復帰。しかしいじめはやまず、保護者が家庭訪問を行った学年主任と市教委の担当者に文書の項目が実施されているのか抗議したところ、担当者らはその文書の存在を知らず、先月2月1日の時点までその文書が現場の教員らに共有されていないことがわかりました。

教頭は「支援体制」の文書について「先生たちには見せていない」と認めたものの、「内容に書かれてある個別の支援やいじめ防止の活動はその都度、必要な時に教諭に指示してきた」と反論しました。

学校に対する信頼をさらに失った生徒は学校に行く意欲がさらに低下、今後の学校の対応が急務とされています。

考察

今回のいじめ事件と学校の対応。Javishが考える問題点は計画の全体像が教員に共有されていないことだと考えます。

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 文書の作成に関わった教員が明らかになっていませんが、文書を保護者と生徒に示したのが校長で、その文書の存在を知るほかの教員がいなかったことから、学校内で円滑な情報共有がされていなかったことは明らかです。教頭先生によるとその都度指示はでていたようですが、教員がいじめ防止対策の全体像を把握しないままその業務を部分部分に行っていたことになります。これは問題です。組織が何か目標を持って計画を進めるのであれば、その計画の全体像を組織の全員が共有するのは絶対です。なぜなら、その計画の実行中に意識のずれが生じるからです。

 管理職がいじめへの対応策を立てて実践する目的を「生徒が安心して学校で勉強できるような環境を整えるため」としたと仮定しましょう。管理職は以下のように考えます。

 

管理職:

生徒が安心して学校で勉強できるよう今後の対応策をたて、各職員に実践させよう。

 

しかし、実際には計画の全体像は共有されず、対応策が別々に指示されました。対応策は5つの項目があり、多岐にわたります。そのひとつひとつの指示の際に、きちんと「生徒のため」という目的が共有されたでしょうか。もし共有が明確に出来ていない場合、教職員の中にはこう考えた方がいる可能性があります。

 

教職員:

管理職からいじめ対応策を指示されたからやろう。 

 

この時点で、いじめ対応策の目的と、いじめ対応策の実行そのものが混同しています。対応策の実行の目的は生徒と保護者のためであって、指示されたからやるものではありません。目的がばらばらだと、 優先度合いが各個人で異なった結果計画が遅延したり計画の実行方法が第三者から見ても問題なく進んでいるかを評価できなくなったりします。多忙な教員の勤務実態と学校という閉ざされた空間の2点を考えると、この2つは特に起こりやすそうに見えませんか?実際、いじめの被害を受けた生徒が学校の対応策を示されて学校に復帰してからもいじめがやまなかったことから、学校のいじめ対応計画には遅延が起こっていたことが予想できますし、 「計画全体が共有されていないことを保護者と生徒が知ったらどう思うか」を学校は考えられていなかったことが今回の抗議につながりました。

この学校運営は果たして適切といえるのか、疑問です。今回保護者と生徒からの抗議を受けて、教頭は諸対策を必要なときに「指示した」と反論していると報道されていますが、保護者と生徒の怒りは「指示されていたか」ではなくて「教職員で連携が取れていないじゃないか」ということ。計画は遅延、相手(保護者と生徒)のニーズにこたえられていない。

先日紹介した「JALの心づかい」を読んでほしいです。相手のために考えて行動する力がつく本ですよ!

thoughtsofenglishteacher.hatenablog.com

 

おわりに

今回の一件は学校運営のありかたと教職員の適切な連携の取り方を考えさせられる事案です。いじめをうけた生徒と保護者の今後がどうなるのか、非常に気になります。

Javishも学校の業務で多忙な日々を送っています。もちろん上からの指示もたくさん受けていますが、ひとつひとつの業務が「何のため」にあるのかを考え続けられる教員でありたいです。

 

 

参考サイト

<川口いじめ>信じて再び登校したのに…不登校生徒に示した「今後の支援」共有されず 母が抗議、教頭反論

http://www.saitama-np.co.jp/news/2018/02/28/04.html

川口のいじめ 顧問教諭が体罰 ノートが証拠に

https://mainichi.jp/articles/20171208/k00/00e/040/201000c