英語科教員のメモ書き。

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平均点伝える?伝えない?

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お疲れ様です、Javishです。

 

テスト返しがほぼすべて終了しました。

最近気付いたのですが、テスト返しの時に学年平均やクラス平均を

生徒に伝える先生伝えない先生がいるようです。

生徒に学年やクラスの平均点は伝えるべきでしょうか?

平均点を伝えるメリットは?

生徒に平均点を伝えることで、生徒にどんな変化が起きるでしょうか。

生徒は平均点を伝えると、「自分の点数が平均点より高いか低いか」を気にします。

平均点より高い生徒は喜び、低い生徒は悲鳴を上げたり苦笑いをしたり。

 

「自分の点数が平均点より高いか低いか」を生徒に意識させたいなら、

「自分の点数が平均を上回ること」が生徒にとって有益ならば意味があります。

平均点を上回ることが有益になるのは、

定期考査を「偏差値」の参考にするケースくらいでしょうか。

しかし、中学校・高校で定期考査の点数が偏差値の参考になることはほぼありません。

 

まず中学校1年・2年では、明確な受験校がない限り、

ほぼ偏差値を気にする必要がありません。

それよりも学習習慣の確立や部活など好きな事を思いっきり楽しんだほうが有益です。

 

中学校3年では受験を意識することになりますが、

平均的な公立校にいる場合は、

正確な偏差値を出すのに十分な生徒数がそろっているとは考えにくいですし、

定期考査の問題が受験問題と似ていないと、平均点との比較は偏差値として参考になりません。

私立中学の場合は中高一貫校が増えていることや、

学力のばらつきが少ないことから同様に偏差値として参考になりません。

 

高校の場合も、サンプル数の少なさや学力のばらつきが中学よりも少ないことから、

平均点と自分の点数を比較して偏差値を見出す意味がありません。

 

そもそも、 受験に関する有意義なデータがほしいなら、

業者の模擬テストを受ければ一発解決するんですよね。

偏差値だけでなく合格ランクや倍率など、受験生の強い味方になっています。

 

話を戻すと、定期考査の平均点では信憑性のある偏差値を出せないということです。

つまり、生徒は学校の平均点を気にする意味がない。

 

しいて言えば、

上位層が平均点を聞いて自分の点数の高さにうれしくなるくらいでしょうか。

生徒にとって、学校の平均点を知ることのメリットがほぼないのです。

 

なぜ平均点を伝えたくなる?

このように生徒にとって平均点を知るメリットが少ないものの、

学年・クラス平均を生徒に伝える教員はたくさんいます。

どうしてでしょうか?

 

考えられるのは、「せっかくデータとして出したから使う」という理由。

よくよく考えてみれば、平均点を出すのは教員に対するメリットが多い。

定期考査の難易度の確認や、生徒の到達度の確認、

来年度の授業の修正改善など、教員が知るべき情報は平均点から多く得られます。

さらに、テストの採点という大きな事務作業を乗り越えて

データとして生み出した平均点。

「せっかくデータとして出したんだから、テスト返しのときに伝えよう」と思いがち。

教員の心境としては生徒に伝えたくなる気持ちがわいてくるのも自然です。

 

しかし、平均点を伝えることで学びにつながっているとは考えにくいですし、

むしろ「周りと比べて自分はどうか」と、

生徒は常に他者と比較した自分を意識してしまいます。

 

特に英語の勉強になると、周りとの比較はするべきではありません、

4技能5領域の中で、生徒はそれぞれ得意分野がありますし、

積み上げる努力の質と量や伸びるスピードも生徒一人ひとりで違います。

周りと比較してどうかではなく、

過去の自分と比較してどれだけがんばったか、

また自分は今後どうなって点数を伸ばしていきたいのかなど、

個人の成長を意識できるよう工夫をしていきたいところです。

おわりに

今回は生徒に平均点を伝えることの是非を考えました。

Javishが現役のころはわりと平均点を生徒に伝える先生が多く、

そのたびに「あぁ~今回は俺だめだったな」とか「今回はがんばったほうだな」とか、

常に他者比較の中での自分を考えていました。

 

でも、勉強で大切なのはそこじゃないんですよね。

今、平均より低いからといって、

1年後2年後も平均を下回っているかは誰もわかりません。 

むしろそれこそどんな教員に出会うかによって大きく影響されるかも。

 

生徒の力を伸ばしてあげるには、やはりテスト返し直後の行動が大切ですね。。。

定期考査が終わったらすぐに振り返りシートや今後の学習計画表などを配って、

生徒の目が「自分」に向くようにしたほうがいいかもしれません。