大阪市の教員人事評価の件。
お疲れ様です、Javishです。
上記の大阪市の教員人事評価の件について考えます。
まず概要としては、大阪市の吉村市長は大阪市の全国学力・学習状況調査の結果が芳しくないことから、市として各学校ごとに数値目標を設定し、その達成状況を教員の人事評価に反映させる意向を示したというものです。これに対し、現場からは反発の声が上がっていると。
児童生徒の成績が全国的にみて低いという課題に対し、教員への金銭的な評価による解決策を打ち立てようとしているということですね。反対意見の中には「学力テストの目的から乖離している」というものがあります。
まず、そもそも全国学力・学習状況調査の目的は何なんでしょうか。
文部科学省によると、
- 義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る。
- そのような取組を通じて、教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。
- 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。
( http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku-chousa/zenkoku/1344101.htm より引用 )
とあります。
大阪市は長い間学力テストの結果が低いことが指摘されており、学力の底上げが課題でした。今までの取り組みでは学力に改善がみられないことから、具体的な数値による目標を立て、それを教員の人事評価に活用するという改善に舵を切ったことになります。
よって、大阪市は学力テストの目的を履き違えているわけではないと解釈することもできます・・・が、反対する人もいるでしょう。
今までの方針とは大幅な変更となりますから、変革を起こそうとしているという観点では評価できなくもないのですが。
反発している方々は、「教育の成果を金で釣るな」というスタンスなのでしょうか。
生徒の成績を金銭的なモチベーションでより伸ばそうとするな、のような。
それとも、そもそも義務教育の目的は人格の完成であって成績の向上ではないから、
カネを使う目的が間違っていること?
色々調べてみると、
・学力格差は経済格差が起因することが多いため、教員に使うより格差解消に使うべき
・教員はカネで勤務の質が向上するか不透明
・カネで勤務向上を狙う大阪市の教員志望者が減る
など、諸々ありました。
1点目の「格差解消に使うべき」に関しては、
大阪市は家庭の貧困解消に向けて、所得に応じた塾代の助成をしているなど、
一概に格差解消に取り組んでいないわけではありません。
2点目の「教員はカネで仕事(生徒の学力向上)をもっとがんばるか」はどうでしょうか。
部活動の手当てが少し改善された際、
「手当てよりも休みがほしい」という声は少なからずありました。
要因を的確に把握し、それを解決するための施策を打っていくはずなんですが。
「生徒の成績が向上しない→生徒の成績が向上したら手当て増」
という施策は、
「①生徒の成績が向上しない→②教員はもっとがんばるべき→③じゃあがんばった人が評価される制度を作ろう→④生徒の成績が向上したら手当て増」
という思考によって作られたものとも考えられます。
不思議ですね、③はとても合理的な判断なのに、
②の理由付けは納得がいくものではないという。
生徒の学力が向上しない要因はもっと他にあるから、そこにカネを使え。
その要因は、いったい何なんでしょうか・・・
3点目の教員志望者が減るというのはこれは主観ですね。
教員の評価制度は公務員と同じく年功序列。
「がんばった人ががんばった分だけ評価される」
一般企業ならば常識的な方針ですが、学校ではそうもいかない・・・?
学校教育は本当に不思議です。
あまりまとまった考えになっていませんが、
感じた事を多めに吐き出してみました。
これだけ議論を呼んだ大阪市の方針は今後どうなるのか、
見て行きたいと思います。